大夕張10景(9)駅前銀座

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大夕張10景(9)駅前銀座

画・・・・野 田 淑 雄
文・・・・佐 藤 貞 雄

戦前から大夕張に住むおとしよりたちは、駅前通りを歩きながら「随分変わったもんだ」と、感慨深げな表情を見せることがある。幅12メートルの舗装道路が走り、2階建て約60軒の商店がある。やまのデパートといわれる購買会をはじめ、食料品店、高級呉服を扱う店、DP屋。T字路を左へ曲がると喫茶店から料理屋へとつづき、別名大夕張銀座といわれるところである。

もともとこの地区は炭砿住宅地で、昭和10年以前には商店はなく、購買会がただ一軒だけ。それも午後3時に閉店した後は、千年町でなければ買い物ができなかった。急の客が来ても買いおきがなければお茶に漬物が上級のおもてなしの品になる。大夕張砿業所の規模が大きくなるにつれて商店が進出し、現在の長江商店の付近に、1軒の建物の中に、2間間口の約20店が雑居したのが、駅前商店街のはじまり。

戦後は海外からの引揚者の小さな露店が建ちならび、次第に商店街の形をつくりあげた。近代的な歩道橋を遠くに見て、街角には赤いレンガが印象的な郵便局、警察、消防もある。自動車は一日約3000台が走る。大夕張の石炭とともに,しっかりと根をおろした感じの駅前通りである。

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