– 大夕張風物 – 色づく山ぶどう
2020-02-15
2023-07-24
32007
– 大夕張風物 - 色づく山ぶどう
画・・・・野 田 淑 雄
文・・・・佐 藤 貞 雄
秋風が吹きはじめると、かえでが美しい色どりをみせるが、遠目にも、いちばん早く赤くなるのが山ぶどうの葉である。
樹木にからみつき、かえでより数倍大きな葉が、木を覆いつくす。葉の間から、黒い粒をつけたかたまりが、ぶらさがっているのを見ると『古里の山』の実感を覚える。
山ぶどうは立ち木にからみついているもの、平地の笹やぶを、どこまでも延びて実をつける『這(は)いぶどう』とあるが、種類は同じ野生。
直径5ミリから小指の先ぐらいまでの大きな粒のものあり、あまずっぱい味が口の中に広がる。
実をつけた茎が赤いものの方が甘味があり、松の木にからみついているものはなおうまい。これを自宅加工してつくったぶどう酒は格別である。
子供のころ、現在進発所に勤務している今勇(49)さんと、いつもいっしょにぶどうとりに行った。当時は、いまの明石町付近までいくと、2時間程でリュックいっぱいとれた。
律儀な彼は、先に見つけても手をつけず、筆者を呼び、いっしょに穫った。穫りながら、食べながら、木の上で話しながらのひとときである。ぶどうの汁で舌が紫色になり、相手の舌がおかしいといっていつまでも笑い合っていた。
楽しく読ませて頂きました、文中の今勇さんは自分の伯父です
閉山の際、他の炭鉱に斡旋を希望してましたが必ず斡旋するから
と最後まで残され結局、約束を反故にされ千葉に上京しました
相当、炭鉱を恨んでいたようです。
そんな伯父も、ずいぶん前に他界しています。