《思えば遠くへ来たもんだ》 |美佐子

1817

  37年前の今日、東京に出て来ました。

 大夕張 千年町の自宅前から、従兄弟の車で札幌まで送ってもらい、札幌の親戚の家に挨拶に行き、札幌から函館まで列車に乗りました。確か「ゆうづる」という列車だったと思います。

 札幌駅には、おばあちゃん、叔母達、従姉妹が見送りに来てくれました。

 叔母が「もうしばらく会えないんだからいっぱい喋っときなさい」と言ってたのだけれど、11歳の私は、悲しいのと淋しいのと、何よりも北海道から出て行くということが、とても現実として受け入れられず、何も喋れませんでした。

 列車に乗ってから、しばらくは母も泣いていました。

 青函連絡船に乗り換え、夜中に青森から夜行寝台に乗り、初めての地、東京は上野へ到着。

 大夕張はみぞれが降っていたというのに、東京はなんて温かいのだろう、そう思いました。

 そして人の多さに目まいが…黄緑の電車、オレンジの電車、乗る電車全てが混雑していました。

 《思えば遠くへ来たもんだ》

 こんな歌がありましたね。

 大夕張を出たことのない母、サラリーマンをしたことのない父。

 私の知らないところで、いろんな思いを抱き泣いたこともあったでしょう。

 そんな頑張ってくれた両親に 本当に感謝です。

(2010年10月29日 記)


随想

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