SL冬の湿原号 ’01 |飯田雅人

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 2001年1月。釧路に行きました。SL『冬の湿原号』に乗ってきました。

 午前11:08 釧路駅発。

 釧路湿原の中に丹頂鶴を見ながら、蒸気機関車C11にひかれた観光列車が標茶へと走ります。

 それは遠い記憶を呼び起こす、懐かしさに出会う旅でした。

 

 発車とともに、「ガタン」と一揺れ。

 最初は静かに動き出し、そして徐々に力強くなる走り。
 

 旅立ちの汽笛は何か物悲く響きます。

 だるまストーブを囲んで華やいだ観光客の人たちの談笑。声も自然に大きく響きます。

 その上で焼かれるスルメが、ストーブの暖かい空気にのって、香ばしい匂いを漂わせていました。

 窓の外を見ていると、横の国道を並んで走る自動車が、列車を追い越していきます。

 このスピード感。

 そうだ、時間はもっとゆったりと流れていた。

 大夕張炭山と清水沢の間を1時間をかけて走っていた頃。

 一つのことに時間をかけ、手間をかけ、山の中で暮らしていた。

 終点の標茶駅では、標茶高校の女子生徒が、乗客達にアンケートを取っていました。私も答えていきましたが、幾つめかの質問の中に「SLに乗ったことは何回目ですか」という項目がありました。

 「子どもの頃たくさん・・・」と書きかけて、質問の意味に気がつきました。生活の中でSLに乗っていたことがある年代はもはや限られているのですね。

 ゆったりとのんびりした片道1時間半の時間はあっという間に過ぎてしまいました。

 ひとときの過去に戻った気分を味わえた旅行のあとは、自家用車に乗り、高速道路、道東自動車道・道央自動車道を乗り継いで、釧路から札幌まで6時間程の行程を飛ばして、2001年の札幌に無事帰ってきたのでした。

(2001年3月30日 記)


随想

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