お祭り集合写真(富士見町)

19295

昭和37、8年頃。富士見町詰所前。

線路をはさんで向こうに健保会館の屋根が見える。

父がお世話役の一人としてうつっている。

男兄弟ふたりがいた我が家だったが、ここにはいない。

特に引っ込み思案で恥ずかしがりの私は、ここにいたとしても、雨のそぼ降るこの日の天気、早く帰りたくて泣きべそをかきながら立っていただろうか。

そう思って写真を見てみると、一人いた。そんな表情をしているような子が・・・。

 

こちらから向こうに向かう線路そばの道、鹿島小学校の通学路だった。

 1年生の時のある冬の日、学校でテストを返してもらった。

 ちょっと親に見せられないような点数だった。

「どうしよう、叱られる」

 そればかり考えて歩いていると、詰所の窓の庇(ひさし)の板の間に隙間があるのを見つけた。

 道路脇の雪山に登ればそこに手が届きそうだった。

 「隠そう」

 そう心に決め、テストを小さく折り隙間に入れた。そして一目散に家に帰った。

 親の前では、素知らぬ顔でいたが、内心

 

「誰かが見つけて家に届けたらどうしよう」

 

とドキドキだった。

 

 しかし、それがバレることはなく日がたち、いつしか忘れた。

 

 でも、その後味の悪さに、それからは、二度としなかった。

 

 富士見町の詰所の写真を見るといつも思いだす、懐かしい記憶である。

  

 

白黒写真に着色した画像

 

富士見町詰所前での集合写真



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