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記憶の中のお祈り |小野美音子 思い出ばなし

記憶の中のお祈り |小野美音子

  教会での劇を終えて帰宅する菅井さん親子     「昭和40年鹿島小学校前」の写真にジ~ンときたことがあります。    東方の博士役を終え満足そうな菅井さん。  3人を見守るように、お母様が身体を少しかしげ、かごを持つ姿にどこか聖らかで暖かいものを感じたからです。    そしてバックに映る美しい教…
「九人の乙女」と開拓吉田さんの思い出 | 小野美音子 随想

「九人の乙女」と開拓吉田さんの思い出 | 小野美音子

 三菱君を書いて下さった楽しい斎藤様の家では、当時受信料が三百数十円程かかったのではないでしょうか。         私の母は堀田牛乳店の月々の支払いがほぼ同額だったので、TVと牛乳どちらにするかと迷いましたが、キャラメルの箱の大きさまで比べてしまう子供達を見て、TVをあきらめました。   エンゲル…
「約束」と私のカエデの原風景 |小野美音子 随想

「約束」と私のカエデの原風景 |小野美音子

 北海道はしんとした静かな雪景色のようですね。   雪の少ない地にいる私には、懐かしい風景です。    緑ヶ丘の私の家は、左手に教会への坂、鹿島小の旧体育館。  右手は泉町や宝の沢、対岸には岳富町付近を通る汽車や、錦町の炭住が見渡せ、大夕張としては素晴らしい眺望に恵まれていました。   ただ、家が崖…
千年町朝日荘前の階段 | 小野 美音子 思い出貼

千年町朝日荘前の階段 | 小野 美音子

  1997年 朝日荘バス停から浴場に向かっておりる階段の跡      河井さんのおばさん、ありがとう・・  私は、あの階段を降りて行った時のはずむような嬉しさを、今も忘れられません。  河井みちこ、ゆうこちゃん姉妹と楽しいままごと遊びが待っていたからです。    バス停まで、必ず笑顔で迎えに来てく…
たなばたの思い出|小野美音子 思い出ばなし

たなばたの思い出|小野美音子

 緑ケ丘のブロック2棟8軒で、心に残る七夕があります。   当時小学校6年生の兄が企画し、音頭を取って、皆が楽しみました。  兄達が大きめの笹を用意し、皆に願い事の短冊を書くように言いました。  そして、それは2階の星山さんへの階段のところに、きれいに飾られました。    リンゴ箱のステージで、小さ…
チャンピオンになった少年との黒帯の約束|小野美音子 随想

チャンピオンになった少年との黒帯の約束|小野美音子

 昭和39年(1964年)東京オリンピックが終わり、しばらくしてからの事でした。  父宛てに、青いインクで丁寧に書かれた、葉書が届きました。   父はその差出人である笹原富美雄五段を小学生の時に、柔道を教えた事があり、いつか強くなったら父の黒帯をあげると約束したというのです。   私はその時、父が柔…
大夕張のうさぎの思い出 |小野美音子 思い出ばなし

大夕張のうさぎの思い出 |小野美音子

 ある日、兄達が野うさぎを捕りに行く、ということになりました。  雪原に跳ね回る可愛い野兎を想い、魅力的なこの遊びにワクワクしましたが、母が私だけ小さいからとストップをかけました。   その時は、残念でしょうがなく、涙がこぼれました。   結局、用心深い兎は姿をみせず、兄達は手ぶらで帰って来ましたが…
人々でにぎわった教会のバザー|小野美音子 思い出ばなし

人々でにぎわった教会のバザー|小野美音子

 もう 40年も昔になるのでしょうか?  大夕張カトリック教会の裏庭で、それはそれはにぎやかなバザーが催されました。   沢山の人々が、ジュースや食べ物を手に、即席ステージで演奏される音楽を楽しみました。  教会は聖歌のように聖らかな音楽を演奏するところと思い込んでいた幼い私は、カントリーウエスタン…
シューパロ川の灯籠流し|小野美音子 思い出ばなし

シューパロ川の灯籠流し|小野美音子

    お盆も過ぎシューパロ川に秋風が吹く頃となりました。  彼岸を渡った魂は、忘れ去られることを寂しがると聞きます。  私には麻疹の予防注射がもとで、赤ん坊の時に亡くなった兄がおり、毎年、妙法寺の灯籠流しに、参加しました。    まだ日の明るいうち、妙法寺には沢山の檀家の人々が集まり、お上人さんを…
緑町浴場帰りの兄 |小野美音子 随想

緑町浴場帰りの兄 |小野美音子

   「宝の沢探検」を愛した私の兄、伸也は、大人になっても仲間と川上りで秘境の滝を再発見し、日本の滝百選に応募し選ばれたり、アラスカに行き、ローカルな新聞やTVに出て、母を喜ばせる、ゴッツい山親爺になりました。   そのコワモテの風貌は、新聞屋の親戚の役にも立ち、お金を払わない客の家の玄関に、兄がヌ…
子亡き夫婦のある日の哀と安堵 | 小野美音子 思い出ばなし

子亡き夫婦のある日の哀と安堵 | 小野美音子

 子供を失った母は、父の出勤後、昔風の舅と狭い家に一緒にいるのを辛く思う時があり、映画館に行ったことがありました。    気兼ねなく涙を流せたからです。    しかしそれも舅の意に染まず、母は妙法寺へ向かいました。   裏からそっと納骨堂に入り、亡き子の骨と共に一夜を明かしました。    父は、夜通…
荒川商店の思い出  | 小野美音子 思い出ばなし

荒川商店の思い出 | 小野美音子

 人懐っこい丸顔のおばさんは、いつも笑顔で店番をしていました。    マンボ、くじ、おもちゃの指輪、ジュース、駄菓子など子供には楽しいお店でした。  母と寄ると、くじをタダで引かせてくれ、それが最近不思議に、思い出され、母に聞くと、千年町あたりでおばさんが友人と会う時、仕事を終え、急ぎ支度で出て来て…
「琴姫七変化」のチャンバラごっこ|小野美音子 思い出ばなし

「琴姫七変化」のチャンバラごっこ|小野美音子

 テレビの無かった我が家に、御近所の、木下さん、古山さん、星山さんなど、色々な方が、おもしろそうな番組があると、よく、誘って下さいました。  木下さんの家では、よく「琴姫七変化」を、見に行かせてもらいました。  それはきれいな琴姫さまが、主役で、悪者がでると、七変化してやっつけ、最後には、何事もなか…
佐藤キンセイ堂時計店の思い出|小野美音子 思い出ばなし

佐藤キンセイ堂時計店の思い出|小野美音子

 懐かしいスピッツのことを思い出しました。  栄町の佐藤時計店の御主人は、髪がオールバックで、片方の眼に黒い筒状のレンズをはめて、いつも修理にいそしんでおられました。 (そのレンズが瞼からどうして落っこちないのか不思議でした^^)  同級生のテッちゃんと、姉のユミちゃんには、幼稚園の頃ずいぶん仲良く…