大夕張10景(6) 公園の足あと
2020-02-11
2020-08-10
24016
大夕張10景(6)公園の足あと
画・・・・野 田 淑 雄
文・・・・佐 藤 貞 雄
片手片足、松葉杖をついた少年が、じょうずに吹きならすハーモニカの音色が、栄町わきのところどころに笹やぶがある林の中から流れ、そのそばで、もう一人の少年が、じっと聞いている。十三夜の月が、二人の少年の姿を照らしている。その後、ハーモニカの少年は、上京して画家になり(蔦子葉氏)、もう一人は炭砿に住みついた。
それから40年。笹やぶは掘り返されて芝生が植えられ、数カ所に花壇があり、しゃれたベンチの上では、ジーパン姿の若者が、ギターをかかえ、かたわらの恋人が、彼の爪びくやさしいメロディーに、静かに耳をかたむける。体育館からは柔、剣道に励む少年たちの、元気なかけ声がひびいてくる。
2500平方キロメートルの敷地には広い庭と、500平方メートルの体育館、短水路6コースのプール、相撲場があり、すずかけ、ななかまど、かえでなど約10種類の樹木が涼しい木蔭をつくり、幼稚園児が、その下でゆうぎの練習をする。正しくは栄町児童公園というが、住民はこの一角を =健保会館= と呼んで親しんできた。ここの芝生には、地区の人たちのいろいろな思い出を秘めた足あとがしるされている。
健保会館、この一角の大きくめだつ建物『武徳殿』ここでは様々な催し、今で言う『イベント』が行われたようです。まさに、『思い出』と足跡が記されている場所なんだろうなと思います。