岳麓の里 – 大夕張風物 – 精炭ポケット - 大夕張風物 -精炭ポケット 精炭ポケット 画・・・・伊 藤 清 治 文・・・・佐 藤 貞 雄 4階建てほどの高い建物。うす暗いトンネルが2本、その下につづいている。貨車の列が、このトンネルから、石炭を積んで押し出されてくる。貨車のない、いっぽうのトンネルをのぞくと、水が雨だれのように落ちてくる。… 続きを読む
岳麓の里 – 大夕張風物 – ダムと湖と三弦橋 - 大夕張風物 - ダムと湖と三弦橋 画・・・・野 田 淑 雄 文・・・・佐 藤 貞 雄 はじめて大夕張へ来る人には、南大夕張から汽車に乗せるとよい。 列車は深い谷沿いにゆっくり走りトンネルにはいる。やがて視界がひらけ、右側に大きな湖と,赤い三弦橋が湖をまたいでいるのを見る。 この美しさは、バスで来… 続きを読む
岳麓の里 – 大夕張風物 – 春を呼ぶ福寿草 - 大夕張風物 - 春を呼ぶ福寿草 画・・・・伊 藤 清 治文・・・・佐 藤 貞 雄 4月、南からの暖かい風が吹く日がつづくと、積み重ねられた雪は日ごとに低くなる。ところどころに、約半年ぶりに土が現れると,まっ先に咲くのが福寿草(フクジュソウ)である。南向きで陽当たりのよい山の斜面に、落ち葉を押し分… 続きを読む
岳麓の里 – 大夕張風物 – 色づく山ぶどう - 大夕張風物 - 色づく山ぶどう 画・・・・野 田 淑 雄文・・・・佐 藤 貞 雄 秋風が吹きはじめると、かえでが美しい色どりをみせるが、遠目にも、いちばん早く赤くなるのが山ぶどうの葉である。 樹木にからみつき、かえでより数倍大きな葉が、木を覆いつくす。葉の間から、黒い粒をつけたかたまりが、ぶらさ… 続きを読む
岳麓の里 -大夕張風物 – 湿原に舞う水芭蕉 -大夕張風物 - 湿原 に舞う芭蕉 画・・・・野 田 淑 雄文・・・・佐 藤 貞 雄 たけのこなどの山菜採りに出かけると、思いがけない湿原でこの花が咲いているのを見かけ、一瞬「ハッ」と息をのむ。青い葉を従え、白いラッパ状の花ビラが、あでやかに迫ってくる感じを与える。花の王様はバラだといわれるが、深山… 続きを読む
岳麓の里 -大夕張風物 – 富士見ヶ丘スキー場 -大夕張風物 -富士見ヶ丘スキー場 画・・・・野 田 淑 雄文・・・・佐 藤 貞 雄 大夕張の子供は、スキーがじょうずだ。小学校2、3年になると、山神社からの急斜面を直滑降する。両足を開き、両腕を広げ、蛙のような格好で滑りおりる。途中のギャップで体をうしろへそり返らせ、見ている人をハッとさせるが、す… 続きを読む
岳麓の里 – 大夕張風物 – 朝日にはえる夕張岳 - 大夕張風物 - 朝日にはえる夕張岳 画・・・・野 田 淑 雄 文・・・・佐 藤 貞 雄 大夕張っ子の自慢の一つに夕張岳がある。小学校の校歌や社歌にも歌われているが、古くは明治末期に不幸の詩人といわれた横瀬夜雨の「独木舟」の一節にも「さめてはつらき夕張の,猿飛ぶ岳にむせぶかな」とうたわれている。 … 続きを読む
岳麓の里 大夕張10景(10) 脈うつ工場群 大夕張10景(10)脈うつ工場群 画・・・・野 田 淑 雄 文・・・・佐 藤 貞 雄 坑内入坑者の列について一足工場地帯へ入ると、ほぼ正面に、雪をかぶった円すい形の丘が二つ、三つと見える。坑内からの排せつ物といわれるズリ山である。九州地区ではボタ山とも呼ぶ。大夕張砿業所40年の歴史が、ここに積みあげ… 続きを読む
岳麓の里 大夕張10景(9)駅前銀座 大夕張10景(9)駅前銀座 画・・・・野 田 淑 雄文・・・・佐 藤 貞 雄 戦前から大夕張に住むおとしよりたちは、駅前通りを歩きながら「随分変わったもんだ」と、感慨深げな表情を見せることがある。幅12メートルの舗装道路が走り、2階建て約60軒の商店がある。やまのデパートといわれる購買会をはじめ、食… 続きを読む
岳麓の里 大夕張10景(8) 常盤橋のリズム 大夕張10景(8)常盤橋のリズム 画・・・・野 田 淑 雄 文・・・・佐 藤 貞 雄 ゆれる、ゆれる。一足ごとに右へ、左へ、上下へと、ともすれば体のバランスを崩し、かたわらのワイヤーロープへしがみつかせる。だが、常盤町に住み、通学生などここを通る人たちは、橋げたの浮き沈みに体の調子を合わせてすーっ、… 続きを読む
岳麓の里 大夕張10景(7) 年輪と風格の事務所 大夕張10景(7)年輪と風格の事務所 画・・・・伊 藤 清 治 文・・・・佐 藤 貞 雄 大夕張砿業所は開坑以来40余年の歴史をもつ。そのシンボルが砿業所事務所である。一部2階建て。開坑とともに建てられ,この2階の一部に,大夕張郵便局が間借りしていたこともある。三菱鉱業石炭部門の中枢,大夕張の脳幹で… 続きを読む
岳麓の里 大夕張10景(6) 公園の足あと 大夕張10景(6)公園の足あと 画・・・・野 田 淑 雄 文・・・・佐 藤 貞 雄 片手片足、松葉杖をついた少年が、じょうずに吹きならすハーモニカの音色が、栄町わきのところどころに笹やぶがある林の中から流れ、そのそばで、もう一人の少年が、じっと聞いている。十三夜の月が、二人の少年の姿を照らしている。… 続きを読む
岳麓の里 大夕張10景(5)白銀橋に憩う 大夕張10景(5)白銀橋に憩う 画・・・・伊 藤 清 治 文・・・・佐 藤 貞 雄 いっぱいに水をたたえたシューパロ湖と、残雪の夕張岳を右に見ながら、バスは大夕張へ向かう。湖水が右へ別れる地点へ来ると、前方にクリーム色のしゃれた橋が、湖をひとまたぎしている。白銀(しろがね)橋という。 … 続きを読む
岳麓の里 大夕張10景(4)山すその街なみ 大夕張10景(4)山すその街なみ 画・・・・野 田 淑 雄 文・・・・佐 藤 貞 雄 西側の山にへばりつくように住宅が建てられ南,北に幹線道路が走っているため、住民は悲しいときにも、うれしいことにも東の空にそびえる夕張岳を眺める。 しかし春日町対岸の、磯次郎沢の尾根に立って西を見ると、標高768メー… 続きを読む
岳麓の里 岳麓の里 序 【岳麓の里】 大夕張は,旧国鉄清水沢駅から17.5キロ,夕張岳に向かった山峡にあった。かつては途中に高さ20メートルの鉄橋が8つもあり,住民は時速17キロの汽車に揺られ,景色を眺めながら乗っていた。夕張北高に通っていた生徒の中には,勾配1000分の16.7(1000メートルで16.7メートル上る)の… 続きを読む