空知地方史研究協議会編「空知の鉄道と開拓」|奥山道紀

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 空知地方史研究協議会より「空知の鉄道と開拓」が刊行されました。

 内容は空知管内の国鉄から私鉄・専用線・森林鉄道までの歴史が網羅され、各市町村の郷土史家等が中心になって執筆しています。

 「三菱大夕張鉄道」については一時期、夕張東高校の教諭を務めた北海道開拓の村学芸課長の野村崇氏が執筆しており想い出として以下のコラムが掲載されてます。


 思い出の大夕張鉄道


 私がはじめて、大夕張鉄道に乗ったのは1951(昭和36)年、春3月の末、大夕張の地はまだ深い雪におおわれていた。

 3月25日の大学卒業式の前夜、「ユウバリカシマコウコウにキマル」という実家からの電報に、少し晴れやかな顔で卒業式をすませ、就任の手続きのため帰省した。

 数日後、朝早く室蘭線三川駅から蒸気機関車の牽引する客車に乗り、追分で乗りかえ、だんだん山奥に入っていく。

 清水沢で大夕張鉄道に乗り換えた時は、まだこの先に人が住んでいるのかと思った。

 清水沢方面から車で行く場合は南大夕張で貨車に積み替えると隣の人から聞いて驚いた。

 南大夕張~明石町間には、1952(昭和37)年まで道路がなく陸の孤島であった。

 赴任以来の8年間、大夕張鉄道は私の通勤列車であり、発掘調査から疲れて帰って清水沢駅から、あの煤煙のしみこんだ客車に身を横たえると、我が家に帰ってきた安堵感にひたらせてくれる憩いの列車だった。

 就職、結婚、長女誕生と、私の人生のスタートには、三菱大夕張鉄道がいつもそばにあった。



(2001年3月10日 記)

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