どこに行っても忘れないもの 【線路】

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東高校20年誌『シューパロ』(昭和47年10月)からの、夕張東高定時制の生徒たちの書いた文章。

 

 

■坂道

■机

■線路

 

の中から 線路 と題する文章。


【線路】

鉄の二本の線路を、

どこにいてもわすれない。

・・・

いろいろな職場から、

いろいろな地域から、

ある人はバスで、ある人は汽車で、

みんながバラバラに集まって来ても

線路を渡った時、

「さあ学校に着いた」

とみんな同じ気持ちになるのだ。

・・・

蒸気機関車が、今でも走る線路、

黒い水をだらだら落としながら石炭を運んでいる。

まさに産炭地の力強い象徴だ。

・・・・

父が、隣のおじさんが、そして、

定時制の

僕たちの仲間が、

サイレンで入坑して、そして堀った石炭を運ぶ線路。

・・・

どんな職場で働いていても、

この線路と無関係の職場はなかったと思う・・・・

町をささえているものの一つが、

僕たちがまたいで通っている線路なのだ。

・・・

日本国中、線路はどこにでもある。

網の目のように、どこまでもつらなっている。世界中に。

・・・

・・・

毎日が同じことの連続で、

くだらない、勉強したくない、

何でもいいから、ガタガタになるまで遊びたい。

金があって、生徒でなかったら、

旅に出て、パチンコでもボウリングでも

何でもいいから力いっぱい発散させたい。

そう思うほど、僕らの学校生活はどろどろなのだ。

いつも清く澄みきったりしていない。

だけど、・・・

それだはだめだと、自分をおさえつつ線路をまたいでいるのだ。

・・・

静かに、ただ、ボケーッとしていたくて、

学校に来るのがおっくうで、

・・・

わざとレコードをガンガンかけて、

何も考えずに目をつぶっていたいほど

気がふさいで、学校に来たくなくて、

・・・

それではだめだと、自分にいい聞かせて

線路をまたいでいるのだ。

あの線路をしっかり覚えておきたいと思う。

 

若木のようにたくましく、

明日に生きる若者として、

車をささえ、重さに耐えて、

長く遠い目標までつらなる。

あの線路を忘れない。

 

 

 

 

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