『それ』のおいしい作り方 |久々湊真一

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 小学校5年の時に、何故か化学者に憧れて、試験管やらビーカーを買ってきた。

 

 
 長年シコシコと貯めていた小遣いを、思い切り良く全部これに充てたのでした。

 
 「何に使うの?」

 

と両親から咎められたが、案の定、実験のアイテムも無くて、ただ透明の容器を眺めて磨いて、ニタニタしていただけであった(笑)。

 

 
 目盛りのついたビーカーは、母が調理(分量測定)用に流用したので、全くの無駄とはならなかったが、試験管は限りなく無用の長物に近かった(汗)。

 

 

 しかし、学校へ向かって歩いていた冬の朝に、突然これらの容器の使い道を思いついた。

 

 学校では、隣席のE子(何でも知っていた!)に作り方やら材料を「それとなく」相談したのだった。

 

 学校が終わり脱兎の如く家に帰って『それ』の材料をかき集め。そして、いよいよ試験管とビーカーのお出ましです。

 

 
 まずビーカーに材料を入れ、少し暖めながら透明のガラス棒で攪拌して『それ』の元を作る。

 

 この液体を試験管に注ぎ入れ、割り箸が真中になるように立てる。

 

(これが難しい、輪ゴムを利用した)

 

 そして試験管を外に持っていき、雪の中にすっぽり埋めてセット完了。

 数時間置くと『それ』が目出度く出来あがります。

 
 もうバレバレかしらん。

 

 
 『それ』とは、牛乳と砂糖を原料とした、

『ミルクアイスキャンディ』

でした。

 

 

 ところが、試験管からキャンディが中々抜けないのです。大夕張の厳寒はすさまじく、かちんかちんに凍りついていたのです。

 

 試験管って丈夫ですね。

 

 

ぬるま湯につけて、ソロソロ抜きましたが、やや細身の長~いアイスキャンディが出来あがりました。

 

 
 味は良かったと思いますが、苦労した分、旨いと感じたのかも(笑)。

 

 
 大夕張人は、結構、似たような事をやっていたのかもしれませんね。

 

 つまらぬ推理仕立文で遊んでみました。

 

 

(2002年2月28日 記)


思い出ばなし

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