グズベリ!|内川准一

1843

 子供の頃、食べるものがないわけでもないのに、弥生町、我が家の前の長屋(12舎)のグスベリをよく失敬しました。

 

 トゲで血がにじんでも、お構いなしでした。

 

 ジジィにときどき怒鳴られたけど、それが楽しみなのでした。

  

 子供の頃、何も食べるものが無い時、家の前の垣根になっていたグスベリは、今何処に行ったのだろうか?

   

 大夕張のグスベリは、きっと、今でもどこかに生き残っていることでしょう。

 

 そして、あの小さな紙風船のような果実はとっくに落ちて、今夜あたり、霜の降りた枯れ草の間から、星がはめ込まれた真っ黒の空を見上げているに違いない・・

  


私の家では、大夕張のカリンズの末裔が今年も元気です。

  

(2006年10月20日 記)


随想

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