緑色のまち |内川准一

1875


友人の希望で30日の土曜日、夕張岳に登ってきました。

 
曇りの予定が、昼前からぐんぐん晴れて思いもかけない絶好の日和。

 
気持ちよく高度を稼いで、望岳台に着いて、休みながら大夕張を探しました。

 
悲しかったですね。

 
なかったのです。「大夕張が無い」のでした。

 
緑一色の中のわずかの変化を辿って目を凝らしたあたりは、付近にくらべて幾分明るい緑色。

 
「あのあたりが大夕張」とわかるまでに、結構かかりました。

 
以前には見えていた、懐かしい鹿島小学校の「青い屋根」が、今はない。

 
大夕張が消えようとしています。

 
飯田さんの「名文」を思い出しました。

 
「地図から消える」という意味を、目が悟った瞬間でした!

 
うすい緑も毎年少しづつ濃くなっていって、いつか山の緑と見分けがつかなくなる日が来るのでしょう。

 

見回せば、鬱蒼とした緑、無風。静かな山。

 
見上げると、頭上には、いつの間にできたのか、一筋のジェット雲がありました。

 
(昔、晴れた夕張岳の上には、いつもジェット雲が出ていたものでした。)

 

 

(2001年7月1日 記)



 

随想

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