大夕張つれづれ■マエダケ■|高橋正朝 #79

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 私が4歳か5歳ぐらいの初夏のころ、名前は全く覚えていないが、明石町に住んでいる細身の人で、父親ぐらいの歳の人が、夕張山地に入ってキノコの塊を持ち帰ってきたことがある。

 そのキノコを、「マエダケ」といった。夕張山地にある山の名称として、前岳というのがあるが、同じ発音だったので記憶がはっきりしている。

 もちろん、発音を覚えていただけで、名称の漢字は知らなかった子ども時代である。そのキノコは、小さな子どもの私には、とてつもなく大きく感じたので印象が強かった。

 キノコに、「マエダケ」という正式な名称があるのかどうか、ウェブでチェックしてみたら、「マイタケ」の里ことば、とか、方言(全県)として記載されている記事がいくつかあった。

 したがって、私の子どものときの記憶は間違ってはいなかった。東京の八百屋やスーパーなどで売っていた「マイタケ」は、売買しやすくするために小さい塊になっているが、私が、子どものそのときに見た「マエダケ」は、両手に抱えた大きなものだった。

 小学生になって山中を徘徊するようになってからは、見つけて家に持ち帰って食用にするのは、「ボリボリ」と「ヒラタケ」だけだった。

 「マエダケ」を見たのは、子どものときのその1回だけしかなかった。東京に来てから、スーパーなどでキノコを見ると、子どもにときに見た大きな塊の 「マエダケ」は、こちらでは「マイタケ」というのだな、と思ってはいた。しかし、図書館などに行って、わざわざそれを詳しく調べようとはしなかった。

 図書館には、東京にいる間は、200回前後は行っていたと思うが、「マエダケ」のことをふっと思い出し、2~3回キノコ辞典や百科事典をチェックしたことがあるが、「マエダケ」が「マイタケ」だという確信はなかった。

 そもそも、私が手にしたそれらの本には、「マエダケ」という名詞はなかった。今回、その「マエダケ」のことを思い出し、ウェブでチェックして見たら、「ブナ帯のきのこ図鑑」という記事には、見事な大きい「マエダケ」の写真が載っていた。ウェブは、本当に便利だ。すべて内容が正しいとは限らないけど、 それは、印刷された本でも同様に内容に真贋はあるだろう。こういう類のことをチェックするのは、 印刷された本よりもネットは大変便利だ。

 キノコは、湿度の高い地域で植生するものだと、我々は子どもの頃から、キノコを採る周りの状況から知っている。タイを含む東南アジアは高温多湿でキノコの生育には適しており、人々には普通に食されている。色んな種類のキノコがスーパーの棚に並んでいる。

 「マエダケ」こと、「マイタケ」も普通に売られている。タイ人もキノコは好きなようで、よく食べられている。まったく知らないキノコも売られているが、私はそれら知らないキノコでも、もっぱらみそ汁の具にして食べている。

 タイでは、日本語の立派なフリーペーパが10種以上出回っているが、たまに、地方に住んでいるタイ人が、毒キノコに当たって死んだことが、フリーペーパーの記事の中に出てくることがある。

 タイで、日本人が毒キノコに当たって死ぬのは聞いたことはないが・・・・・・。殆どの日本人は、スーパーで食材を買うので、毒キノコが紛れるのは皆無に近いのだろう。


髙橋 正朝 ( たかはし まさとも ) 2017/07/18 _ 23:16:52

昭和23年11月に明石町生まれ。鹿島東小学校から鹿島中学校に進み、夕張工業高校の1年の3学期に札幌に一家で転住


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